最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)727 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人松野一衛の上告状記載の上告理由について。
論旨は、原判決の違法の内容を具体的に主張しないから、上告適法の理由として、
これを採用し得ない。
同代理人の上告理由第一について。
論旨は、原審において主張判断を経ない事由をもつて、原判決に違法がある旨非
難するものであつて、上告適法の理由としてこれを採用し得ない。
同第二について。
原判決の引用する一審判決は、訴外下関市においては、終戦前防空法に基き、本
件宅地を道路敷用地として他の土地と共にその所有者より買収し、終戦後の混乱時
に際し、市民に生活の道を立てさせるため、右買収土地をバラック建築をする条件
で、契約期間を一年と限り、使用料を定めて一時使用させ、その後昭和二七年末ま
で一年毎に契約を更新して来たけれども、昭和二八年一月以降は、右契約の更新を
拒絶したものであつて、上告人主張の賃借権も亦、右の如く、一時使用のためにす
る賃貸借契約によるものであり、しかも契約更新を拒絶せられたものにほかならな
い旨認定して居るのであるから、昭和二九年一月三〇日、右宅地上の本件建物を買
受けたと主張する上告人は、借地権消滅後の建物を買受けたものである。したがつ
て、上告人は、もとより右建物買取請求権を有しないのみならず、かかる場合、借
地法第九条所定の一時賃貸借については、建物買取請求権に関する同法第一〇条の
適用がないこと当裁判所の判例とするところである(当裁判所昭和二八年(オ)第
一一八号同二九年七月二〇日第三小法廷判決、民集八巻一四一五頁参照)。されば、
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上告人の建物買取請求権の存在を否定した原判決は正当である。
論旨は、独自の見解に立脚して原判決を非難するものであつて、これを採用し得
ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 石 坂 修 一
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
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